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会長メッセージ

飯田医師会は、長野県下10の二次医療圏のうち、飯伊二次医療圏に属する唯一の医師会組織です。
(※飯伊は、飯田下伊那の略で、飯田市と下伊那郡13町村から構成されます)

長野県下における飯伊二次医療圏の特色は、面積(1,929km2)は最も広く、自治体数14は最も多く、人口は約16万2千人(2015年)で人口密度は下から3番目に少ないので過疎地域に分類されます。また、2019年に県から発表された医師偏在指数(医師数の指標)は下から4番目に少なく、医療資源も乏しい圏域であるのにもかかわらず、他の圏域との患者の流出入は最も少ない、医療の域内完結度の最も高い医療圏であり、同時に一人当たり医療費(国保のみ2014年)は下から2番目に低く抑えられています。

このように飯伊二次医療圏は、広大な面積と医療過疎の課題を有しますが、乏しい医療資源を効率的に運用するシステムを医師会が主導して構築してきた結果、各医療機関は質の高い医療を提供し、二次医療圏内での医療完結度を高め、同時に医療費の抑制にも成功しています。

しかし、現実的には楽観視できる状況にはなく、新たな課題も浮上してきています。例えば、開業医の高齢化に伴う医療資源の脆弱化、休日夜間の急患対応や在宅医療の充実に取り組む開業医の負担増、広大な面積を背景とした多職種間連携の困窮等々、解決策を絞り出すには困難な課題が並んでいます。
それでも我々は、飯田保健福祉事務所や全国的に高い評価を得ている「飯伊包括医療協議会」、2016年に設置した「南信州在宅医療・介護連携推進協議会」などと密に連携し、当圏域独自の地域包括ケアシステムの整備や課題克服に向けた新たな取り組みを進めてきています。

さらに当圏域には、2027年にリニア中央新幹線が開業を控えているという大きな希望もあります。飯田から東京と名古屋(品川駅⇔飯田駅⇔名古屋駅)への所要時間は各々30分程度となり、2大メガリージョンの中間駅として理想的な地理的条件を背景に、国内だけではなく海外からも注目を集める可能性を秘めています。新たなイノベーションの創設やインバウンドの増加など、大きな夢を語るに尽きない地域なので、これからの時代を担ってゆく若い世代の方々が、当地で希望に満ちた社会を、我々と共に作っていく夢を抱きたいと思います。

医療は、最も基本的な社会基盤の一つです。地域社会の中に箱物が豊富にあったとしても、医療が機能していなければ人は住めません。医療機関がなくなると人口流出が始まることも証明されています。それ故、医師会の存在理由は、地域社会の持続性を堅持するために、地域医療の充実に努めることです。
飯田医師会は、新たな課題の克服に向けて、他の医療専門職の団体並びに行政機関と協働し、地域医療をさらに充実する責務を果たし続けます。

尚、コンテンツメニューにあります「飯田医師会の歴史」も是非読んで頂けましたら、飯田医師会の活動を理解する一助になると思います。

原 政博飯田医師会会長
原 政博